神経症の症状がでる理由として、精神科医である森田正馬は神経質性格の中に起こる「とらわれの機制」に原因を求めました。
とらわれの機制とは、精神相互作用と思想の矛盾に分けることができ、精神相互作用は心臓に注意を向けることによって別に病気でもないのに、心臓が苦しくなったりしてしまうという作用です。注意を向ければ向けるほど自律神経に作用して一層心臓の動悸がはげしくなるという悪循環に陥るのです。
思想の矛盾は、たとえば人前に出ると緊張して赤面してしまう人がいたとして、その人が神経症になりやすい神経質性格ならば人前にでてもっと堂々としていなければ強いという意識をすればするほど、赤面してしまうのです。
森田正馬はこうして自分で意識すればするほど悪循環を起こす、神経症の発展につながるとらわれの心理があるということを示しています。
赤面症などの神経症の場合は、まずそういった自分の頭で何とかコントーロールしようというとらわれの認知を変えていく方法が神経症の改善に役立ちます。